お酒を飲むから、髪の毛が多い・少ないというのは、現時点では医学的根拠はありません。
毎日、飲酒をしていてもフサフサな人もいますし、まったく飲まないのに薄毛な人もいます。
毛髪診断士をしていると、お酒のご質問をよく受けます。
お酒は、楽しい場を作ってくれるコミニュケーションの場でもありますし、1日の終わりにホッと一息をつける至福の時間だったりします。
だからこそ、お酒が薄毛の原因になっているのでは?と心配になる方も多いようです。
AGA(男性型脱毛)の要因は、”遺伝から”くるものであることはすでに医学的に分かっていることでもあります。
しかし、遺伝でも薄毛を増長したり、減速させる行為は存在します。
例えば、兄弟でも生活スタイルや食べるものが違えば、脱毛のスピードは変わってきて当然です。
お酒が直接的な薄毛の要因ではありませんが、正しい知識を身につけることで薄毛のリスクを減らし、楽しく飲酒することが好ましいです。
お酒が薄毛になりやすいと言われる5つの理由
1 お酒を飲みに行くとお風呂に入らずに寝てしまう人がいる
1日の汚れが頭皮にはたくさん付着しています。
花粉、ほこり、皮脂、汗、フケなどが頭皮に長時間付着すると、皮脂が汗と混じり合って酸化してしまったりするなど、様々な要因で頭皮環境が悪くなってしまいます。
自宅でお酒を飲まれる場合は、お風呂に入れる場合が多いですが、仕事帰りに会社の方や友人と飲みに行くとなると、そのまま飲みに行かれる場合も多いかと思います。
楽しく会話も弾んでくると飲酒量も自然と増えますし、いつもより遅くまで飲み歩いたりするとお風呂も『明日でいいっか』と気も大きくなってしまう方が大半のようです。
しかし、大量に飲んでしまった状態でお風呂に入ることは危険でもあります。アルコールの分解を妨げると共に心臓にも大きな負担となってしまうからです。
飲酒後にお風呂に入る・入らないは飲酒量にもよるので、どちらが正しいとは言えませんが、飲みに行く回数を考えたり、帰れる人は一度お風呂に入ってから飲みに行くなどするように意識することも大切です。
2 アルコールの分解には大量の栄養が消費されてしまう
アルコールの分解には、主に知られているのはビタミンB1が多く使われています。
他にもたくさんの栄養素がアルコールの分解に消耗してしまうことが知られています。
身体に余るだけの栄養があって、初めて髪の毛に栄養が回ってきますが、アルコールの分解に多くの栄養素を使われてしまうと、成長の妨げにもなります。
髪の毛に悩んでいる場合は、特に飲む量や頻度を考える必要があります。
3 糖質過多
適切な飲酒による適量のアルコール摂取は、糖尿病の発生を予防する可能性があります。しかし度を越した過剰なアルコール摂取は高血糖を来たし、それは同時に脂質異常症や高血圧などと相まって脳血管障害・虚血性心疾患の危険因子となります。
何事も度を越してしまうと良くありません。
髪の毛一本一本は、血管と繋がって栄養を貰い受けているため、血管に悪影響となってしまう病気のリスクは避けたい部分です。
4 睡眠が浅くなる
少量のアルコールは、寝つきが良くなるなどと言われていますが、身体は休んでいても、脳が活発に起きている状態です。(レム睡眠)
そのため眠りが浅くなってしまいますが、医学的にその理由ははっきりと分かっていません。
睡眠の質が悪く、脳がしっかりと休息を取れていない状態になってしまうと、ストレスが増えてしまうことが研究でもわかっています。
髪の毛は、血管だけでなく神経とも繋がっていますので、質の良い睡眠はとっても大事です。
お酒の適度な量とはどれぐらいを指すのか?
年齢や性別、体格、体質によってアルコールの分解速度は変わってきます。
休肝日を設けることも必要
肝臓を休める為に1日以上飲酒をしない日を設けることが必要です。
肝臓をフル回転で使っていると、たくさんの栄養を消費しています。髪の毛を生やす為には栄養が必要です。アルコールを分解するのにたくさん消費してしまわないよう注意が必要です。
髪の毛に、回るだけの栄養を確保する為に、休肝日を設けてあげるのも大切です。
飲酒時の食事に気をつけよう
胃に何も入っていない状態でアルコールが入ると吸収スピードが早くなりますし、血中濃度が急激に上がり、肝臓に負担がかかってしまいます。
胃に食事が入っていると、アルコールが胃に留まる時間が増えるので一気に吸収することが避けられます。
冷奴やサラダ、焼き魚などあっさりした消化しやすいものを必ず一緒に摂りましょう。
また、脂っこいものや、ジャンクなもの、麺類など皮脂の分泌が促されやすい食べ物は避けるべきです。
外用薬ミノキシジルを使用中の方の飲酒
お酒は、適度な量であれば、血管を拡張してくれる作用があります。
お酒は”百薬の長”と言われるように、髪の毛の毛細血管まで栄養が行き渡りやすくなる為、適度な飲酒は良いです。
ミノキシジルは毎日の使用が必要です。
ただ、ミノキシジルも血管を拡張する作用がありますので、あまり多くの飲酒をしてしまうと一気に血圧が下がり過ぎてしまうなどの危険も伴う為、時間をずらしたり飲酒を控えたほうが良いでしょう。
内服薬フィナステリドを服用中の方の飲酒
内服薬は毎日飲むことが推奨されているものですので、お酒と一緒の服用は大丈夫か?気になるところです。
現在、内服薬フィナステリドによる適度な飲酒であれば効果に影響はないとの事。
ただし、他に常時服用しているお薬がある場合は内服薬との併用が可能かどうか、事前に必ず主治医に確認をするようにしてください。
また、フィナステリドには食事など制限はありませんが、グレープフルーツは避けるべきだと言われています。薬が効きすぎ、副作用が強く出てしまう危険性があるためです。
医学的根拠はないが、適度な飲酒が髪の毛を守る
お酒を飲むから、髪の毛が多い・少ないというのは、現時点では直接的に医学的根拠はありませんが、過剰な飲酒はやはり避けた方が良いと言えます。
髪の毛は身体の一部です。
健康が損なわれるような過剰な飲み方をしなければ、適度にお酒を楽しむことができます。
適度な飲酒で”百薬の長”を味方につけて、薄毛のリスクを減らしてあげましょう。